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ベルは一瞥してその姿を認識すると、興味を即座に失ったように視線を鏡へと戻す。それからネクタイの位置を正すように首元をいじり始める。
「このたびは、新国王就任おめでとうございます」
ネリアスはゆったりとした足取りで入室し、ベルとの距離を多少詰めると片膝を床につき、服従する姿勢を見せた。その姿をベルは鏡越しに眺めている。
ベル「ふん、見え透いた世辞は止めろ」
ネリアス「これは失礼しました」
号令を駆けられたように、ネリアスは床に着けていた左膝を立ち上がらせる。
ベル「何のようだ?」
ネリアス「本日の行列では進路を少々変更した方がよろしいかと」
ネリアスの言葉を聞いてベルのネクタイを触る手が停止する。ゆっくり振り返りながらベルは口を開く。
ベル「変更だと?」
ネリアス「はい。その方がご都合の方よろしいかと」
ベルはその言葉を聞き、フッと笑う。
ベル「はっきりと申せ。何が言いたい?」
ネリアス「反乱分子の可能性がございます」
ベル「ほう…面白い。どの程度わかっているのだ?」
ネリアス「確かな情報元からの託です」
ベル「私を暗殺しようとでもいうのか」
ネリアス「危険は極力避けて通ることに損はありません」
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