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ベル「父上のようにはならない、とでも?」
ベルは前に向きなおし、鏡の方を向く。そしてネリアスの反応を伺おうと、鏡越しにネリアスの姿を凝視する。
ネリアス「お言葉ですが前国王様は―」
ネリアスは期待に反し、表情を崩さずに淡々と答える。ベルは頭に乗せた王冠を右手で取り上げ、再び振り返る。
ベル「私とて、そこまで愚鈍ではない。そしてその真相については多少の見解を持ち得ているつもりだ。そこでネリアスよ。ひとつ訊こう」
ベルはネリアスの方に歩み寄っていき、その途中で卓上に王冠を置く。
ベル「貴君はどちら側の味方だ?」
睨みつけるようにネリアスを見る。ネリアスは新国王を眼前にすると頭を垂れ、敬意を示すようにしながら答える。
ネリアス「ベル様のためならば、この身をいつでも捧げるつもりで居ります」
ネリアスは頭を下げたままの状態で次に目を瞑り、髭さえも微動だにしない。
ベル「信じていいのだな?」
ネリアス「勿論でございます」
答えながらネリアスは片目を開け、ベルの方を見る。ベルは薄ら笑いを表情に蓄え、その視線に応える。
コンコン、とノックの音。
ベル「誰だ?」
扉が開くと配下の一人が顔を見せた。
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