脚本一話目

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それはドアノブであり、どうやら建屋の裏口戸であるようだった。 ラルフ(さっきの奴は、ここから中に入ったのか?) ラルフは少し躊躇ったが意を決して、右手でそのドアノブを掴み引いた。鍵はかかっておらず、戸はすんなりと開いた。隙間から顔を潜り込ませ、慎重に中の様子を伺う。 建屋の中は明かりがついておらず、日差しが差し込む窓もない様子で暗闇が広がっている。ラルフの瞳孔は少しずつ広がり、なかの様子が刻々と見え始める。家具など一切見えず、倉庫のような、それでいて狭々と感じさせる空間。ラルフの目はすぐさま一点に集中していた。 ラルフ「な、なんだあれは!」 広々とした空間を狭く思わせるそれは、横たわる巨体。すぐ目の先には直方体型電車のような二本の脚が見え、ラルフがそれを脚と瞬時に判断したのは先端に靴のような形状を同時に認識したからだった。足を示すであろう台形の先を目で追っていき脚を通り過ぎると、胴体らしき部分は横から見ると真四角のブロック状で、白を基調としながら黒の縦縞が所々に塗装されている。そして猫の胴体に比べて実に短い。
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