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その中にジャレクもサチの姿もない。
ラルフ「ふ、ふたりは無事なのか?」
災害現場から離れたことで少し冷静になり、未だ息を切らしながらも広場の状況を確認しようと思い振り返る。
ラルフ「なんだよあれ……」
広場のほぼ全域、商店街を含む一帯は火の海と化しており、建屋の瓦礫が、まるで幼児がおもちゃ箱をひっくり返したように散乱している。
ラルフ「どうしてこんなことに…」
周りからは「あれじゃあ、新しい王様も」「おい、馬鹿なことを言うなよ!」といった囁きが聞こえてくる。
ラルフ(ジャレク…サチ…二人はきっと無事だ)
ラルフは震える体に鞭を打って、再び四歩足になって広場のほうへ向けて走り出す。
「お、おい、待ちたまえ!」
ラルフは今度、背中から聞こえる声に従うことはなかった。
7.煙が目に染み込み、熱気が毛をちりちりと焼きつけそうなほど広場の中心に近づいて行くと、さきほどの巨大ロボットが足元の瓦礫や死体を気にする様子もなく、未だ闊歩している。この不気味な一つ目の怪物は獲物を探し続けるように紫の目玉ひとつを絶えず動かし続けていた。
ラルフ(こいつ…こいつがやったんだ!)
ラルフ「くそっ!」
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