第一章 はじまり

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「ねえ、どこなの?お母さんはどこにいるの?」 「それは……」 「ずっと一緒に居たはずなの、ねえ答えてよ!」 「……」 ラルフは少女の視線から必死に逃げることしかできない。 「……わかった、もういい」 少女は地面に手をつき、ゆっくりと立ち上がろうとする。しかし途中で体勢を崩し、倒れそうになる。地面に倒れる前、ラルフが手を伸ばして彼女を掴む。 「だから怪我しているんだよ、無理だって」 「ほっといて!」 少女はラルフの手を払うと、痙攣するように震えるか細い足で立ち上がる。 「わたし、行かなきゃ」 「行くって、どこへ?」 「おかあさんのところ」 「戻るって言うのか?無茶だ!」 「それでも行かないと」 「今戻ったら死ぬぞ!」 「それでもいい!わたしは……」
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