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「ねえ、どこなの?お母さんはどこにいるの?」
「それは……」
「ずっと一緒に居たはずなの、ねえ答えてよ!」
「……」
ラルフは少女の視線から必死に逃げることしかできない。
「……わかった、もういい」
少女は地面に手をつき、ゆっくりと立ち上がろうとする。しかし途中で体勢を崩し、倒れそうになる。地面に倒れる前、ラルフが手を伸ばして彼女を掴む。
「だから怪我しているんだよ、無理だって」
「ほっといて!」
少女はラルフの手を払うと、痙攣するように震えるか細い足で立ち上がる。
「わたし、行かなきゃ」
「行くって、どこへ?」
「おかあさんのところ」
「戻るって言うのか?無茶だ!」
「それでも行かないと」
「今戻ったら死ぬぞ!」
「それでもいい!わたしは……」
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