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ラルフ、興味のない振りをするが思わず耳がピンと立つ。
ローラ「今日は新しい国王様の就任式があるもんね!」
ラルフは表情こそ変えないが、ピンと立てた耳が萎れる。
次にがっついてシリアルを食べはじめる。テレビではニュースが流れており、今日行われる新国王の就任式について取り上げている。
アナウンサー「本日、新国王となるベル王子は……」
ローラ「ねえお兄ちゃん、ベル様ってどれぐらい偉いの?」
シリアルをほお張ってテレビを見ていると横からローラが訊ねてくる。
ラルフ「王様になれば、国の全権を握るだろうな」
ローラ「へえ!それってすごいの?」
九才のローラには全権の意味することが理解できず、兄とよく似ている見た目の彼女は、国中がお祭り状態となって盛り上がっている風景をテレビ越しに見て、きゃっきゃっと自分のことのように嬉々している。
母親「それにしても、前国王様のことは残念だったわね」
ラルフ「事故だっけ?」
母親「ええ。でも本当に急なことだったから、きっとベル王子もすごくショックだったでしょうに」
ラルフ「二年前だよね」
母親はラルフの方を見ながら頷く。それからテレビの方へと顔を向けた。
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