脚本一話目

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ジャレク「あ!ラルフ、この時間に起きているなんて珍しいじゃないか」 ラルフ「そうか?」 ジャレクの腕組みしてさも珍しそうに眺めてくる姿に小さく憤慨しながらラルフは答える。 サチ「今日は遅れずに済みそうね」 ジャレクの横に歩み出た制服姿のサチがいつもの調子で一言を添えた。 場面切替 王城の一室。新国王就任パレードに備えて、新国王になるベルが全身鏡を前に身なりを整えている。ベルはスフィンクス種の猫で、おおよそ体毛がなく小麦色の産毛がうっすらと全身に生えている。顔にはぱっちりとしたアーモンド状の目と、大きな耳が特徴的。パレードの時間が迫る中、ベルは自室に一人きりで身支度を始め、藍色のスーツを着込み、漆黒のマントを身に着けている。そして卓上に置いてある、王冠へと手を伸ばしているところ。コンコン、とノックの音が静かに響いて手の動きを止める。 ベル「入れ」 ネリアス「失礼します」 厳粛に扉を開けて顔を見せたのは前国王からの重臣であるネリアス。彼はマンクス種の猫で、既に齢五十を過ぎており、黒のスーツに身を包みながらも腹部はでっぷりと前に突き出ている。
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