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外は既に日が落ちており、家々に光が灯っていた
そのまま球体を抱えて路地を歩く灯里
妙見灯里(交番は・・・たしかこっちだった。・・・今日はいつもとは違う事ばっかり起きるなぁ)
深くため息をつく灯里
そのままなんとなく腕の中を見降ろすと、球体が発光する色をゆっくりと変えながら大人しく収まっていた
妙見灯里(色が変わってる・・・?)
歩くたびにゆっくり色を変えていく球体
不思議に思い、掲げながら歩いてみると気付く
妙見灯里「・・・周りの明かりと合わせてるんだ」
電灯の明かりやお店の看板の色、家の中から洩れる明かりに答えるように、同じ色にその身を変える球体
妙見灯里「・・・そっか。光が君の言葉なんだね」
妙見灯里(と言う事は、この子は全く言葉の通じない世界で独りきりだったんだ。この子の方がずっといつもと違う状況で、ずっと辛くて、怖くて・・・。いや、比べるものじゃないなこれは。とにかく、早く仲間と会わせてあげないと)
少しだけ足を速め、灯里は交番へ向かった
場面転換・交番内
椅子に座っている灯里とその膝に乗せられている球体
そしてそれを見ながら首をかしげている南野
南野樹 「・・・ペット?」
妙見灯里「(あー、その可能性もあるのか)分からないです・・・」
南野樹 「うーん・・・今の所、そういうペットの捜索依頼は来てないね。検疫は受けているだろうから危険でもないと思うけど、まあ預かるよ」
南野が球体に手を伸ばすと、その手をすり抜けるように球体が灯里の膝から転がり落ち、灯里の足にめり込むように変形する
南野樹 「あー・・・。懐いてるみたいだし、そのまま保護したら?書類だけ書いてもらって。何かあったらこちらから連絡するから」
妙見灯里(まじっすか・・・)
足元を見降ろす灯里
球体は灯里の足首を包むほどに変形してめり込んでいた
妙見灯里「・・・そうします」
南野樹 「じゃあ、書類出すね」
南野が書類を探しに席を立つ
それにつられて灯里が顔を上げると、壁に駆けられた時計が8時を指そうとしていた
妙見灯里(天体観測・・・)
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