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化け物が、がくがく震える異常な動きを見せた。
「おえっ、何、あれ!?」
化け物の首から、赤黒い、血に見える何か流体状のものが漏れ出している。
「熱量を感じるわ。危ないっ!」
化け物の首から、光線が放たれた。先ほどの粒子で散乱されて見える光の筋が、トライアルの横に瞬間で出来上がる。
「ええ……」
今のは、当たっていたら消え去っていたかもしれない気がする。また、緊張感が噴出してくる。
「あれは、まずいわ。あれは、天窓から中を焼くこともできるかもしれない」
「えっ!」
あの天窓は可視光は透過するようにできている。放射線を写しているわけでもない通常のモニターや私の目に見えるということは、あれは天窓を透過する可視光だ。
「それは、駄目でしょ……」
宇宙に吸いだされるどころの話ではない。
街は焼かれ、艦にだって復帰不能な影響が出るかもしれない。
世界は宇宙の影になってしまう。
「かといってあたってはまずいわ。距離をとるわ」
「駄目、突撃」
「千鳥?」
「可能な限り速やかに、あれを、やっつける」
なにかがふっきれた。この無重力空間ではコイントスもできない。私が、自分の意志で決める。
「次の一撃を打たれる前に、突撃!」
「でも……」
「ゴー!」
「わかったわ」
加速
「あいつを捕まえる」
「……オーケーよ」
さらに加速。衝突と 同時に熱い抱擁。
化け物の首からあの赤黒い流体が漏れ出てきた。
「千鳥!」
「レーザー!」
抱きついたまま、レーザーをほとんど直にぶちこむ。
赤熱。沸騰。閃光。咆哮。爆発。
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