第1話「抽出と試行」

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粉々になった化け物の名残が、乱反射している。 「やったな、千鳥くん」 汚い音で、ドクター・カイの声が、かろうじて聞こえる。 「はい……」 力が抜けてしまった。しかし、私は……私が、やった。 あの化け物は、なんだったんだろう。自分は生き物を殺したんだろうか?もしそうなら、そういう経験が、これまでにあっただろうか? ぼーっとする。 「千鳥……?やったのよ?あなたが、街を、救ったのよ……?」 ぼーっとする。疲れた。 乱反射が収まる。黒々とした宇宙が、全天周モニターいっぱいに見える。 目を閉じる。再びの漆黒の世界。深呼吸をする。自分の呼吸の音が3度繰り返される。 ……あの化け物は、また現れたりするのだろうか……? あんな化け物がまた来るなら、あんな、光線を放つなら…… 「天窓は、外装でカバーされちゃうかな……?」 公園に置いてきた自転車と野菜と魚はどうなっただろう?まだ保冷剤がもっているかな。 お父さんとお母さんは、夕飯どうしただろう?それとも、避難してそれどころじゃなかったかな。 ひーちゃんは、無事だったかな。 ちょっと、いつものようには考えがまとまらない。 色々ありすぎたように思う。 「帰ろうか、ランちゃん」 「オーケーよ、千鳥」
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