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粉々になった化け物の名残が、乱反射している。
「やったな、千鳥くん」
汚い音で、ドクター・カイの声が、かろうじて聞こえる。
「はい……」
力が抜けてしまった。しかし、私は……私が、やった。
あの化け物は、なんだったんだろう。自分は生き物を殺したんだろうか?もしそうなら、そういう経験が、これまでにあっただろうか?
ぼーっとする。
「千鳥……?やったのよ?あなたが、街を、救ったのよ……?」
ぼーっとする。疲れた。
乱反射が収まる。黒々とした宇宙が、全天周モニターいっぱいに見える。
目を閉じる。再びの漆黒の世界。深呼吸をする。自分の呼吸の音が3度繰り返される。
……あの化け物は、また現れたりするのだろうか……?
あんな化け物がまた来るなら、あんな、光線を放つなら……
「天窓は、外装でカバーされちゃうかな……?」
公園に置いてきた自転車と野菜と魚はどうなっただろう?まだ保冷剤がもっているかな。
お父さんとお母さんは、夕飯どうしただろう?それとも、避難してそれどころじゃなかったかな。
ひーちゃんは、無事だったかな。
ちょっと、いつものようには考えがまとまらない。
色々ありすぎたように思う。
「帰ろうか、ランちゃん」
「オーケーよ、千鳥」
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