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21世紀に起きた人工知能の爆発的な発展は、当時地球上の人類を悩ませていた問題のほとんどを解決してしまった。危惧されていた人工知能の反乱も起きず、人工知能はロボット三原則をよく守りながら人類の良き友人、ときには師、そして指導者となった。増えすぎた人類の移住先としてなのか、それとも過去の人類の知的好奇心に似たものなのか、そのときの人類にはもはやその理由を明確に理解できるものはいなかったが、人類は人工知能とともに宇宙へ進出した。
「ただいま」
「おかえり」
映画を観ていた父親が振り返る。
「今日の学校は何か面白いことはあった?」
「うーん、可もなく不可もなく」
振り返ってみても劇的な何かがあったわけでもない日常だったように思う。
自分の部屋へ向かう。
「おかえり」
「ただいま」
小説を読んでいた母親が目だけを千鳥の顔に向けて帰宅を歓迎する。
お父さんもお母さんも、自分の部屋で趣味の事をしていてもドアを開けておいてくれるのはなんとなくうれしい。
自分の部屋でカバンを置く。
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