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「《ヨドミ》を残らず倒しきって、そして笑うんだ。唄うんだ。君とぼくと、そして彼女で……一緒に!」
「……気楽でいいな、子どもは」
「《剣》がまだ持てないからね。子どもらしくしておかないと」
「言いやがる」
笑い方はまだ思い出せない。けれど、戦い方ぐらいは思い出せそうだった。ロボ・リロンは立ち上がり、そしてクーパ・ルーの前に膝を突いた。
「クーパ・ルー」
少年の声で、ロボ・リロンは誓いを唱える。
「おまえの腕に、ボクがなろう。おまえの《剣》を、ボクが振るおう」
ロボ・リロンは胸の装甲を開いた。その奥に置かれたコンソールに、彼の紋様が輝く。「ありがとう、ロボ……!」
クーパ・ルーもまた、左腕をかざす。そこに刻まれた紋様は、ロボ・リロンの紋様と同じ色に輝いていた。
『見ツケタゾ』
死臭に気付き、ふたりは声の主へと振り返った。
『アノ巨大ナ《剣》ハ危険ダ。使イコナサレル前ニ、貴様ヲ……!』
クーパ・ルーを追ってきた人型の《ヨドミ》は、しかし全ての言葉を吐き出すことが出来ずに果てた。それは、振り下ろされた《剣》によって叩き潰された。
「まだ、生きていたんだな。オレの《剣》は……」
ロボ・リロンは折れた《剣》をしみじみと眺め、そして鞘へと戻した。
「行こう、クーパ・ルー。急いだ方が良さそうだ」
ふと、クーパ・ルーが盾を見詰めていることにロボ・リロンは気付いた。
「どうした」
「ねぇ、ロボ・リロン。この盾に名前を彫ってくれた人はきっと、君に忘れて欲しくなかったんじゃないかな。君の、名前を」
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