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七
「さて諸君。決戦だ」
《剣》の代わりに杖を突き、包帯だらけの女剣士は不敵に笑った。傍らには天才剣士見習いクーパ・ルー、背後には大戦の英雄ロボ・リロン。森の外れに設けられた粗末な野営地で今、彼女は人類最終決戦の幕を開けようとしていた。
「異議あり」
古参の剣士のひとりが、手を挙げた。
「異議を認めよう」
「大戦の英雄が立った。それは喜ばしい。だが魔法少女の解放には賛同できん」
「解放せずとも、今のままならこの星はいずれ滅びる」
「だからといってそれを早めるのは、《ヨドミ》の所業とさして変わらん」
剣士たちの意見は二つに割れた。女剣士たち決戦派に対し、保守派の方が勢力は大きい。
「スクラップ&ビルドだ」
彼らの頭上から、体格に見合った巨大な声が降り注いだ。
「スク……なんだって、ロボ・リロン殿?」
「壊さなければ創れない、という意味合いさ」
「自身の肉体を捨て鉄巨人の力を得た貴方の言葉であれば、頷きもします。ですが、全てが失われた後に、新たな世界を創り出せるという補償は?」
「補償はこれだ。借りるぞクーパ・ルー」
女剣士が、クーパ・ルーの背負っていた木刀を引き抜いた。
「これが?」
「私が不覚にもこの傷を負った戦いで、だがまだ子どもであるクーパ・ルーは生き延びた。なぜか? 折れたはずの木刀が、魔法少女の力で再生し彼を護ったからさ」
剣士たちの視線が自分へ集まっていることに気付き、クーパ・ルーは慌てて何度も頷き、女剣士の言葉を肯定した。
「それが本当なら、それは奇跡だ。しかし魔法少女の力だという証明は? 彼女はまだ眠っている」
「証明はできない。けれど、確信がある」
「寝言は寝て言いたまえ!」
女剣士の不遜な物言いに、保守派の代表格である古参剣士が声を荒げた。
「そう、寝言さ」
だが女剣士の笑みに、揺るぎは無い。
「なに?」
「魔法少女の寝言なのだよ、この奇跡は」
木刀を手の中で遊び、女剣士は鋭利に笑う。
「ただの木刀とはいえ、寝言で剣を甦らせるほどの、魔法少女の力。覚醒すれば、如何ほどであろうな?」
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