剣の星のクーパ・ルー

23/39
前へ
/39ページ
次へ
八  会議は、決戦派が過半数を占め解散した。空へ一斉に伝書鳩が舞い上がる。各地に散っている全ての剣士を、水晶の森へと集めるのだ。 「本当なんですか、先生?! 魔法少女の奇跡って……!」  木刀を嬉しそうに握り締め、クーパ・ルーは女剣士の後を追って小走りに走った。 「さぁな、知らん」  あっけらかんと肩をすくめた女剣士の態度に、クーパ・ルーの膝が砕けた。その様子を見下ろしていたロボ・リロンが呆れた声を上げる。 「おいおい、そんな適当なハナシでいいのかよ? 人類の存亡をかけた決戦だろうに」 「構わんさ、必要なのは希望だ。それに……言っただろう、確信はある」  女剣士はロボ・リロンを見上げ、そしてクーパ・ルーへ視線を流した。 「君たちを魅了して止まない魔法少女様が、ただの眠れる森の姫君であろうはずが無い、とね」  クーパ・ルーとロボ・リロンは互いに視線を交わし、苦笑した。 「ところで。自分の名前は思い出せたようだね、ロボ・リロン」  ふと思い出したかのように、女剣士はロボ・リロンの盾を叩いた。 「誰かの悪戯のおかげでな」 「そうか。しかし私の名は覚えていまい。そういうヤツだよ、キミは」  女剣士は、戸惑うロボ・リロンに悪戯っぽく笑いかけた。  何か言おうと足掻くロボ・リロンを、女剣士は人差し指を立てて黙らせた。  「いいさ、きっとそれはまた別の物語だ」  かつて少女だった剣士はそう言って、勝ち誇ったように微笑んだ。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加