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八
会議は、決戦派が過半数を占め解散した。空へ一斉に伝書鳩が舞い上がる。各地に散っている全ての剣士を、水晶の森へと集めるのだ。
「本当なんですか、先生?! 魔法少女の奇跡って……!」
木刀を嬉しそうに握り締め、クーパ・ルーは女剣士の後を追って小走りに走った。
「さぁな、知らん」
あっけらかんと肩をすくめた女剣士の態度に、クーパ・ルーの膝が砕けた。その様子を見下ろしていたロボ・リロンが呆れた声を上げる。
「おいおい、そんな適当なハナシでいいのかよ? 人類の存亡をかけた決戦だろうに」
「構わんさ、必要なのは希望だ。それに……言っただろう、確信はある」
女剣士はロボ・リロンを見上げ、そしてクーパ・ルーへ視線を流した。
「君たちを魅了して止まない魔法少女様が、ただの眠れる森の姫君であろうはずが無い、とね」
クーパ・ルーとロボ・リロンは互いに視線を交わし、苦笑した。
「ところで。自分の名前は思い出せたようだね、ロボ・リロン」
ふと思い出したかのように、女剣士はロボ・リロンの盾を叩いた。
「誰かの悪戯のおかげでな」
「そうか。しかし私の名は覚えていまい。そういうヤツだよ、キミは」
女剣士は、戸惑うロボ・リロンに悪戯っぽく笑いかけた。
何か言おうと足掻くロボ・リロンを、女剣士は人差し指を立てて黙らせた。
「いいさ、きっとそれはまた別の物語だ」
かつて少女だった剣士はそう言って、勝ち誇ったように微笑んだ。
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