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「は、はは……」
腹の底から、抑えようの無い感情があふれてくる。今まで流したものとは違う種類の涙が、こぼれおちた。
気付けば、ロボ・リロンは大声で笑っていた。身体の芯から、湧き出してくる喜びの感情に任せて。それは、とても心地良い体験だった。
「クーパ・ルー。どうやらオレは、笑い方を思い出したぞ」
「おめでとうと言いたいけれど、鼓膜が破れるかと思ったよ」
反響する装甲の中でそれを聞く羽目になったクーパ・ルーは、両耳を押さえて目を回していた。その姿を見て、ロボ・リロンはまた、笑う。
『笑ウナァッ!!!』
《ヨドミ》が、絶叫とともに無数の《既死の剣》を放った。ロボ・リロンの炎で焼かれた傷から、早くも回復したのだ。
「場所は解った! 今度こそあの子を助け出すよ!」
「あー、言い難いんだが」
「……なに?」
「おまえの《剣》、落とした」
「はぁあああ?!!」
クーパ・ルーの声が裏返った。
「探して!」
「この状況で無茶言うな! おまえこそ本来の持ち主なんだから見つけてみせろよ!?」
弾幕めいた《既死の剣》の攻撃を掻い潜りながら、ロボ・リロンは《ヨドミ》へ向かって必死に走る。胸の装甲を失い、生身のクーパ・ルーが剥き出しになってしまった。もう《ヨドミ》の攻撃を受けるわけにはいかない、絶対に。
両腕で、胸の中のクーパ・ルーを護る。だが圧倒的な飽和攻撃に、ロボ・リロンの装甲は削り取られていく。
折れた《剣》が、弾き飛ばされた。
名を刻まれた盾が、砕け散った。
両脚が、地面から突如として突き出した無数の《既死の剣》に串刺しにされ、ばらばらに砕け散った。
「ロボ、さっきの飛ぶヤツ!」
「もう燃料が無い!」
無様に地面を転がりながら、それでもロボ・リロンはクーパ・ルーを両腕で庇っていた。
「ロボ!」
「だが、こんなこともあろうかとッ!!」
地面を転がりながらも前進を続けたロボ・リロンは、仰向けになって止まると、左の拳を突き上げて《ヨドミ》へと突きつけた。走り続けて辿り付いた。ここはロボ・リロンの間合い。
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