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私はもう美しく咲く桜をみることはできない。
抜け落ちた眼窩では何も見えなくなってしまった。
私を埋めたあの人は、嬉しいでしょう?桜の一部になれるのだからと告げた。
本当にそうならば悪くないと思うけれど、一目見られないのが残念だな。
「先週から行方不明になってるって女子高生うちの生徒なんだって。」
「まじ?新聞で見たけどそこまで載ってたっけ?」
また、通り過ぎた一団が話している。
桜の樹の下には「私」が、埋まっている―。
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