第一章 飢え

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 その瞬間、テディベアが嘔吐する。同時に真子も吐き気を催し、両手を抑える。自分は何をしているのだろうか、何故ここに来てしまったのか、ただ亜希にもう一度会いたかっただけなのに。  考えても答えは見つからない。ただ一つ分かる事は、本能のまま見知らぬ機械を操縦し、人間を殺した事だけだ。その事実が真子に深くのしかかる。突然コクピットのハッチが開き、拘束を解かれ外に投げ出された。  グモルクのパーツとオイルに綿、そしてノベンバの血液と遺骸が混ざり合った地面の上に叩きつけられる。生ぬるい感触を背中に感じ、そして真子は我が目を疑った。    真子が搭乗していた機械は、二頭身の巨大なテディべア。真子の宝物、くまこだった。  その口は忌々しい程に、血で赤黒く染められていた。
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