第二章 理由

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 翌朝、真子は大量の寝汗をかきながら、普段より三十分早く目を覚ました。本を開いた後、机に突っ伏したまま眠りに落ちていたのだ。  傍らにはあの白い本と、テディベアのくまこがあった。あの出来事は夢だったのだろうか。しかしあまりにも鮮明で、生々しかった。  もう一度本を手に取ろうとするも、先程の出来事が脳裏に浮かび、躊躇してしまう。  くまこを見つめる。昨日のそれとは違って何ら変わりなく、いつも通りの愛らしい、丸まるとした表情を浮かべていた 「そうだよね、ただの夢だよね」  真子はくまこを胸元に抱き寄せ、自分に言い聞かせるように言った。
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