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「? どうかされましたか?」
「えっ……」
その人を見た瞬間、私は「美人な外国人」と位置付けた。しかし、そんな人から、突然『流暢な日本語』が聞こえてきたら、普通は驚くはずだ。当然、私も驚いた。
「てっきりあたしに声かけたのかと思っていたのですが、間違っていましたか?」
「いえ、すみません」
「いえいえ……ところで、何かご用ですか?」
「えっと……」
(正直、こんな事を聞くのもどうかと思うけど)
「?」
「あの、商品って何か残っていますか? その為に来たんですけど……」
「……!」
私の質問にその人は驚いた様に目を丸くした。普通、大体のはお店注文された以外の『商品』があるはずだ。だが、このお店の場合はそうじゃない。まず、その商品があるか分からないのだ。
それはなぜか……。実はこのお店が基本的に「一点モノ」しか作らない。
もちろん、注文を受けた以外の『商品』も作る。が、あまりない。その為、すぐになくなってしまう。しかも、売り切れたからといって補充はない。
(それにこのお店、日曜日も祝日も休みだし……)
週末が休みの人や学生にとってはたまったものではない。だから、土曜日の今日。わざわざ走ってここまでやって来たのだ。
「そうですか。ですが、申し訳ございません。今日はもう売り切れてしまいまして……」
季節のわりに、なぜかの額から流れている私の汗に気が付いたのか、その人は申し訳なさそうな顔で言った。
「そう、ですか」
この人から聞いた話によると、今日は全て売り切れてしまい、そろそろお店の看板を片付けようと外に出てきたところを私が声をかけらしい。
(でも、売り切れか)
「……どうしよう」
「えっ?」
「あっ」
(ヤバい!)
私は、思わず気が抜けた瞬間に出た自分の声に驚き、すぐに口を両手でふさいだ……のだが、今更誤魔化そうとしても『後の祭り』というヤツだ。
「……どうしても欲しかったの?」
その証拠にその人は私の言葉を聞き、すぐ聞き返してきたのだから……。
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