2人が本棚に入れています
本棚に追加
「でも、あなたの言いよどんだ態度と、あの何かを思い出して悲しそうな顔を見てピンときたのよ。だから。あぁ、この人の言っている『おうえん』は色々悩んだ上で出てきた言葉なんだ。ってね?」
「……」
(私のたった一言でそこまで見抜くなんて……さすがだなぁ)
「でも、あなたはどうやってここに来たのかしら?」
「……最近は、色々な方法で情報が飛び交っている時代なので」
「……そう。じゃあ、あなたがここに来たのは、その色々な方法を使って来たのよね? 」
意地悪そうな顔で小さく笑ったその人は、小学生の頃にいたイタズラっ子そのものに見えた。
「はい。なんとか見つけられました」
(……そう、あれは忘れもしない)
私たちにあの美味しい『チョコレート』をくれた人探していたのだ……。
「……」
「なぜそこまでして?」
「……予想がついているのに、わざわざ聞くなんてそんなの……ズルいですよ」
「じゃあ」
フッと小さく口で私は笑った。しかし、その人は私の言葉を受け、寂しそうな顔で自分の予想が当たっていた事を確信している様だった。
「余命宣告をされて半年。でも、彼は生きています」
「じゃあ、もう治ったとか?」
「まさか、そんな事ありませんよ。むしろいつどうなるのか……」
(そう……いつ、私の前からいなくなるのか)
最初はただの『風邪』だと言って早退した。しかし、検査をする為入院する事になり、結果的に聞かされたのは……『余命宣告』だった。
「…………」
(そんな話。ドラマとかでしかないと思っていた)
しかし、私の育った環境も……他人からしてみれば『ドラマ』の様かもしれない。
最初のコメントを投稿しよう!