勘違いヤきチョコレート

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 私は、まだ1歳にも満たない頃に起きた『マンション火災』に巻き込まれた。その時、私は母に守られ、無事だった。  しかし、私を守った母はその後、亡くなってしまった。元々、家族と呼べる人は母しか居なかった私は、孤児院に預けられ、育った。そんな私と仲良くしてくれたのが、『彼』だった。 「私のいた孤児院の子供たちは、みんな大きな子たちで、なぜ自分がここにいるのか悟っている子が多かったんです」 (でも……) 「彼は……彼だけは、いつも明るい笑顔だった。でも……」 「そんな『彼』もまた私と似たような境遇だと?」 「そう聞かされたのは、会って間もない頃です。まぁ、お互い似たような……『何か』を感じたのかもしれません」 「……あの」 「あっ、すみません。突然そんな話をされても困りますよね」 「いえ、そうじゃなく……。あの、さっきから聞いていると、その彼は『余命宣告』されたんですよね?」 「そうなんですけど、今日いきなり呼び出されたんです。『外泊許可がでた』って」 「……これで色々合点がいったわ」 「えっ」 「まず結論から言うと、彼は『外泊許可』が出来るほど回復しているわよ」 「どういう?」  私は困惑した様にそう言ったのだが……、なぜかその人は気まずそうに私から視線を反らした。 「そういった『許可』は医師に確認が必要なのよ。少なくても、『余命宣告』されている人は出来ないはずだけど」 「でも、確かに彼は……」 「それは、きちんと治療をしなかったらって話だ」 「えっ」  突然聞こえた『その声』に、思わず目の前の光景を疑った。  その声の主は不機嫌そうに私の前に歩み寄り、気まずそうにしていたその人は、「あはは……」と乾いた笑顔で私たちを見比べていた。
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