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朝の目覚めが憂鬱でなかったのはいつが最後だろう。やれやれ今日も一日が始まるのかと、うんざりしながら起き上がるのが毎日の日課になっている。そんな自分が情けなくもあるのだが、いかんせんどうにもできないのもまた事実だった。
リビングでは、先に目を覚ましていた母親が朝のニュース(個人的にはワイドショーに近いと思っているのだが)を見ながら朝食を口にしているところだった。
「健幸、おはよう。先に食べとるで」
「おはよう、俺も勝手に準備するわ」
朝食の準備のためキッチンに移動する。リビングのテレビはここからも見える角度に設置してある。液晶画面には若者の現状をなげく司会者の様子が映し出されていた。最近の若い人たちは覇気がないだの、新しいことに挑戦しないだのと、数人の街頭インタビューをもとに話しているようだ。
きっと、この司会者にとっては、自分もその若者の一人なのだろう。そう思いながら、ガスコンロの火をつけ朝食の準備をはじめる。鍋のなかには昨晩自分でつくったスープが残っている。
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