最高な僕《ばか》

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 そんなアタック劇を一年間続けたお陰か高校二年の春。ついに彼女と付き合えることになったのさ。あの時は震えたね。釣れたての鰹のごたる震えたさ。いや、やっぱり鰤かな? 鮭でも良さそうだな。もう兎に角ビッチビチに震えてた。  そこからは……まぁ? 二人の? 甘酸っぱい? 青春時代っての? そんなんが? 始まり始まりってわけで?  そんでそんで始まった青春時代は高校三年の時にちょっち崩れちゃうのですよ。ちょっちゅね。ちょっちゅだけね。  まあ理由はお察しの通り、僕が上京するって言ったからなんだけどさ、その時彼女は僕のことを全力で止めに来てたんだよ。でも結局僕は僕自身の夢に向かって走り出した足が止まらない止められない状態だったわけなのよさ。  あの時は大変だったね。今考えるとマジよく別れなかったなとか考えちゃうくらいでしてよ。まあ、僕が? 彼女の? あハートを? ガッチリ? 掴んだからの? 結果だったんだからして?  まあホントは一個約束をして、それを守ればオッケイってなったのだってそんなこたぁいいのさ!  そんなこんなでやっとの思いで彼女に納得してもらえたのに、結局東京で夢破れ、今や年収一千万の社長に落ち着いたわけなのよ。はぁ僕ってば勝ち組。  というわけで、彼女との馴れ初めを話終えたところで無事に本来の目的地にとうちゃーく! 今年も綺麗な桜だっちゃ!!  胸元に仕込んだ彼女へのプレゼントを確認して待ち合わせの桜の木の下へ。一旦コンビニの袋は地面に置いてと。  よっしゃ! 掘るか!  そのまま素手で地面を掘る。掘り進めた先に一つの金属製の箱が見えてくる。箱の上についた取っ手を握りしめ、そのまま勢いよく引き上げる。ふふっ。去年振りだなぁ。  引き上げた箱を開け、愛しの彼女との一年ぶりのご対面だ。  ああ……やっぱりキミは何時までも、どんな姿になっても綺麗なままだ。今日はあの時掴んだハートもしっかり持ってきたんだよ。  彼女を自分の横に座らせて、懐にしまっておいた小箱を開け、彼女の前に置き、彼女と一緒に微笑む。  ──約束通り返しに来たよ。  ──掴んだキミの心臓(ハート)
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