第二十四章 夜空の昏い森 二

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 桂樹は車椅子で走って来ると、そのままの勢いでベッドに突っこんでいたので、俺の心臓が止まりそうになった。桂樹はベッドに飛び乗って、平然と俺を見下ろしていた。 「俺は、夜空と花奈の夏川兄妹を溺愛中なのでね。一緒に、奨介君の夢を叶えてゆこう」  ドアが開いたままになっていたので、森野も入って来ると、ベッドに座っていた。 「夜空、一人ではないでしょ。俺も、夏川兄妹を溺愛しているよ。二人は、もう自分の一部で、失くしたら生きていけないくらいだ……」  俺はタオルで顔を拭いて、立ち上がろうとしたが、桂樹に腕を引っ張られた。 「ほら夜空、夜空が抱えているのは、金城だよ……」  俺は、今、沢山の思いを抱えて出発しようとしていた。 夜空の昏い森 終
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