『強戦士というより狂戦士とか凶戦士って部類だと思われる。』

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 そりゃそうだろ。これまで一切他人と関わろうとしなかった神代が、一晩経ったら冴えない同級生男子と並んで歩くというメタモルフォーゼを遂げたわけだし。しかもしかも、神代は持ち前の行動力というか覇王力で朝一発目から先生に「こいつ(俺)の隣に座らせてもらう!」みたいなことを宣言して引かなかったわけで……。  神代の中では対魔王監視体制を確立したのだろうが、俺的には、対男子学生の構図が生み出されてしまった状態でしかない。  神代、お前は気付いているだろうか。  さっきから男子達から、殺意と憤怒、嫉妬といった負の感情剥き出しの視線を向けられていることに。もっとも、向けられるのは俺だけなのだが。  だが男子共は知らない。彼女が横にいるのは、決して恋だとかそういうフワフワしたものではなく、むしろいつか俺を葬り去るためという殺伐としたものだということを。 「お前さ……いつまでこうやってくっ付いて回るんだよ」   「貴様の安全性が確認できるまでだ、魔王」  あ、俺の呼び名は魔王なわけね。  どうでもいいが、その呼び方は恥ずかしいからやめてほしい。 「……お前さ、せめて名前で呼べよ。何が楽しくて同級生に魔王魔王呼ばれないといけないんだよ」 「楽しいかどうかは無関係だろう。お前は魔王であって、それ以上でもそれ以下でもない」  それ以上でもそれ以下でもなくて、それ以外の存在なのだが、俺は。  とりあえず何とかしなければ。このままでは同級生に魔王と呼ばせるような、超痛い奴と誤解されかねない。     
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