『強戦士というより狂戦士とか凶戦士って部類だと思われる。』

3/44
前へ
/173ページ
次へ
「……まあ聞けよ。魔王ってのは畏怖の象徴だろ? お前が俺を魔王魔王と呼ぶことで、聞いた奴はどう思う?」 「それは……」  そう、バカだと思うはずだ。……という真実はこの際伏せておく。 「……おそらく不安になることだろう。だからここは、余計な混乱を招かないためにも、俺のことは名前で呼べ。いいな?」 「……わかった」  神代は深く頷いた。  なるほど、真実はどうあれ、こいつは勇者なんだ。  民のことを思い、民のために魔王を討伐しようとしている。その御大層な正義の心を利用すれば、こいつをコントロールすることも可能かもしれん。  なんというクズ野郎、俺。 「では悠斗。これでいいか?」 「あー……まあ、いいか」  正直なところ、神代にファーストネームで呼ばれると少しこそばゆい。  外見が文句なしに良いからか、すげえ特別感がある。 「……悠斗ぉ……」  突然背後から亡者の声が聞こえた。  背後を見ると、そこには、目を血走らせたネギが。 「お、おお……ネギか……」 「ちょっと聞かせてもらおうか……ことの経緯をな……」 「経緯?」  ネギは俺に顔をずいっと近寄らせる。 「なぜ、お前が、あの神代さんと、二人で、歩いているん、だ?」 「な、なぜって言われてもな……」     
/173ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加