5人が本棚に入れています
本棚に追加
重厚過ぎる扉を開けると、ダンスホールかのようなエントランスが広がっていた。
シャンデリアが輝きを放ち、赤絨毯が通路に敷かれる。まさに、ザ・豪邸、ザ・勝ち組のオーラを全面的に纏いし最高級住宅。
俺達が扉から数歩進んだところで、通路の奥から少女が走って来た。
「――那由多様。今お帰りですか?」
「ああ、今戻った。亜里沙は何をしているんだ?」
「私は掃除を。あ、お荷物お持ちします」
「すまないな。頼む」
そして神代は少女にバッグを渡す。
年齢は俺と変わらないくらいだろうか。褐色の肌と栗色のウェーブがかった長い髪。暖かい笑顔を見せながら神代と親しげに話す彼女は、さしづめ神代と正反対の存在といったところか。陰と陽。太陽と月。猫と犬。
そして彼女が着るのは、メイド服。そう、メイド服である。まさかこの目で純正メイドを見ることが出来るとは。ネギが知ったら卒倒するレベルだろう。生きてて良かった。ビバ人生。
とここで、メイド少女は俺に気付く。
「……ん? 那由多様、そこにいるお方は……?」
「ああ、監視のため今日からこの屋敷に住むことになった、悠斗という奴だ」
「ああ、なるほど。そうだったんですね」
最初のコメントを投稿しよう!