『強戦士というより狂戦士とか凶戦士って部類だと思われる。』

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「それより亜里沙。例の調査は進んでいるか?」 (調査……?)  何やら不穏な言葉が。 「はい、那由多様。どうやら、戦士様の転生者が近くの街にいるようです」 「転生者!?」  思わず声を上げる。 「そうか……。本来であれば僧侶が好ましかったところだが、まずは戦士から接触するか……」 「戦士様、那由多様のことを気付いてくださるでしょうか……」  不安そうに呟く馬平さんに、神代は自信満々に言う。 「心配無用だ。戦士は共に魔王討伐の旅をした仲間。きっと気付いてくれるはずだ」 「そう、ですね……そうですよね!」  元気を取り戻す馬平さんと、優しく微笑む神代。  傍から見るだけなら、実に微笑ましいというかまるで天国のような光景である。見るだけなら。その実、会話内容は実に香ばしい。平然と戦士だとか僧侶だとか魔王討伐だとかいう濃厚テイストなフレーズが飛び出し続けている。  俺は完全に蚊帳の外状態だが、この手の話なら全然かまわん。むしろ入りたくない。俺はいないものとしてほしい。  だが神代は見逃してはくれなかった。 「……聞いてのとおりだ、悠斗。明日の放課後、情報をもとに戦士の転生者を探す」 「はっ!? 俺も一緒かよ!?」 「当たり前だ。私は、お前を監視しなければならないからな」     
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