『強戦士というより狂戦士とか凶戦士って部類だと思われる。』

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 そんなことを考えていると、隣を歩いていたはずの神代の姿がないことに気付いた。 (あれ? あいつ……どこに……)  監視するなら徹底してほしい。逃げる隙を作ってしまっているぞ神代那由多。  周囲を見渡してみると、後ろで足を止めている神代が。何かを見つめる彼女に首を傾げる。 「何してんだ、あいつ……」     どうするか悩んだが、ここで逃げては後が怖い。  仕方なく、彼女の元へと駆け寄る。 「神代、何見てんだ?」 「……」  彼女は何も言わず、目の前の看板に指をさす。  それはすぐ近くにあるオープンカフェの看板だった。そしてその看板にはデカデカと、『ダイナミッククリームソーダ』となんともダイナミックな文字が。 「……あー、これ確か前にテレビで紹介されてたやつだな。そうか、この店のことだったのか」  確かによく見れば客が多い。特に学生の姿が多く、皆一様に笑顔でスイーツを堪能していた。 「へえ……人気店なんだな、ここ」 「……」  ……さっきから神代の反応が悪い。  微動だにせず、口を開くこともなく、ただひたすら目の前の看板を舐めるように見つめる彼女。その姿に、なんとなーく何を考えているのかが想像出来た。 「……神代、もしかして、クリームソーダが食べたいのか?」 「――ッ!?」     
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