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我に返った神代は慌てて俺を見る。図星だったか。
「そ、そんなわけないだろ! 私は勇者だぞ!?」
「いや、今それは関係ないだろうに……。食べたいなら食べればいいじゃん。ちょうど席も空いてるみたいだし」
「ば、バカを言うな! こんな緑色のソーダに濃厚なバニラアイスが乗るという見た目も鮮やかで頬が溶けそうなほど美味しそうなものなど……! 決して……!」
勇者様は相当動揺していらっしゃいます。
顔を茹でタコのように赤くしながら、必死に弁明を述べる神代。なんだか新鮮な光景。
なぜだか無性に意地悪をしてみたくなるのは、ここ最近虐げられていたからであろうか。復讐の時は今と、俺の中に眠る悪魔が薄ら笑いを浮かべていやがる。
「……あっそ。じゃあとっとと行こうぜ」
「――ッ!」
「こんなところで油を売ってる場合じゃないんだろ? 早く戦士を見つけないとな、神代」
「そ、そうだな……その通りだ、な……」
露骨すぎるくらいテンションを下げる神代。まるでこの世の終わりといわんばかりに落胆するその姿は、まさに計画通りといったところか。
なんというカタルシス。俺の中のちっぽけな復讐心が満たされていくのが分かる。
「……」
……が、少々効果が抜群過ぎたようだ。
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