『強戦士というより狂戦士とか凶戦士って部類だと思われる。』

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「この世界の人々は、皆が戦いとは無縁の生活をしている。私がいた世界では考えられないくらいにな……」  私がいた世界ってのは、前世のことか?  だが、それは若干違うぞ神代。 「……確かにこの辺りじゃそんなのは無縁だけどな。少し海を越えれば、そういうわけじゃないところもあるさ。たまたまここが平和過ぎるだけの話だな」 「海の向こうには、魔物がいるのか?」 「んや、いない。ただ、魔物以上に怖い人間がいる。この世界の戦いってのは、いつの時代も人間同士の戦いなんだよ」 「そうか……それは、悲しいな……」  少しだけ、神代の表情が曇った。  なんだか申し訳ない気持ちになってしまったわけで……さりげなく話題を変える。 「神代がいた世界ってのは、魔物がいたんだろ? やっぱり大変だったのか?」 「ああ。いつ街や村が襲われるかもわからない毎日だ。人々は怯え、その中でも懸命に生きていた。だからこそ、魔王を早急に倒さねばならなかったんだ」 「魔物から怯えてて、なんで魔王退治になるんだ?」 「魔物は魔王の凶悪な魔力から産み出される。正確には、野生の動物が魔物に変えられるんだ」 「ああ、それで……」 「魔王討伐は私の使命だ。全ての民の願いを背負い、必ず果たさなければならない。例えこの身が滅びようとも、な……」 「……」     
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