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どこか寂しそうに、目を細める神代。
その一言は、とても本心のようには聞こえなかった。いつもの神代とは違い、まるで自分に言い聞かせているように感じた。あくまでも俺の主観ではあるが。
「……神代、クリームソーダ、もう一杯食べろ」
「え……?」
「お前だけ先に食べ終わってズルいんだよ。奢ってやるから、もう一杯食え」
「し、しかし……」
「この世界はな、お前がいた世界とは違うんだよ。妙な態度取らなくてもいいし、頑なに使命とか気にしなくてもいいんだよ。見てみろ、この世界のどこに魔物がいる? お前ももう少し肩の力抜け。そんで、クリームソーダでも食べておけ。好きなもんを好きなだけ食ったところで、誰もお前を責めたりしない。少なくとも、俺は絶対責めない。だから、食っとけ」
「……」
「ほら、もう注文しちゃうからな? 絶対食えよ?」
すると神代は、くすりと笑った。
「……いや、さすがにそれはもういいさ。だから……」
「……」
「……だから、コーラフロートをご馳走してもらう」
「……オゥケーイ。店員さーん……!」
駆けつけた店員さんに、ビッグバンコーラフロートを注文する。相変わらず心を鷲掴みされるようなネーミングだ。
「――……悠斗」
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