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目的
視力の検査の定期検診のため、僕は1日学校を休むことになった。予め学校の先生にも、その日学校を休む事を伝えておいた。マリアにもそのことを僕は話していた。
特に意味のある診察では無かった。失明してしまった事になってから、後日もう一度診察を受けに来てくださいと言われていた。それが今日だった。
診察は午前中で終わった。病院は平日だからか大して混んでなく、僕が目が見えない事を確認するだけですぐに終わった。
僕は午後から学校に行くことにした。母親にも了承を得た。既に僕は一人で歩いて学校に通えるようになっていた。本当は目が見えるのだから、もともと一人で通えるのだけど、母親はそれを知らない。
最初は母親はとても心配したけど、最近はもう慣れたのか、特に問題が無いと分かってからは一人で学校に通う事をあまり心配しなくなった。
だけど下校の時間になると、いつも母親は玄関の前で僕が無事に返ってくるのを待っていた。誰かに見られている間は盲人の振りをしなくてはいけなかった。
母親が毎日家の前で待っているものだから、下校の際、僕の家が見える位置からはマリアと同じように杖を突付きながらゆっくり歩いた。
見えるのに見えない人の振りをするのはとてもしんどかったけど、僕はマリアと同じ学校に通うために、これからも演技をし続けるだろう。
診察が終わって午後から学校に一人で行く際、僕は杖を突かずに普通に歩いた。杖は持っていたけど、目で道を見れたから杖は使わずに歩いた。
誰か知り合いに見られそうな時だけ目が見えない振りをすればいい。いつも学校に通う朝の時間と違って通勤途中の歩行者も少なかった。
僕は学校に着いたら、休みのはずの僕が学校に来ている事で、マリアを驚かせてみようと思った。
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