冬の章その1 自由教室

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「柏木修也君――だね」 昨日のこと。 ガランとしたプレハブ教室で、校長と向き合う。 「親や教師は近くにいすぎて遠すぎる。そこで君には生徒にとって遠すぎず近すぎない、近所の優しいお兄ちゃんのような存在になってほしい」 校長は埃だらけのプレハブ教室を見渡して言った。 「まずは三学期だけの試験的な取り組みだが、場合によっては継続も検討する」 最後に、しわがれた顔にニッと笑みを浮かべて付け加えた。 「適任を選んだつもりだよ――」 バタンと車に乗り込みエンジンを入れる。 さぁ、このまま帰宅するわけじゃない。 ショッピングセンターに寄って、本にゲーム、ボールやラケットなども買ってこよう。 何しろそこは自由教室。何でもしていい場所なのだ――。
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