茶汲女

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 清三は、身も世も無い風に泣き崩れます。  ファンになった途端に解散しちゃった。いわゆるロスというやつで。 「やけにお上りさんみてえにきょろきょろしやぁがると思っていたが、そういうことだったのかい。そん時に言っつくれりゃあ良かったんだ。そう泣くこたぁねえや。待ってな、ちょいと伯父貴の所へ聞き合わしてみよう。おい、(さだ)。定や――」  年前(としまえ)までそこで営業していたのは確かなのだから、土地(ところ)の者であれば店の名前くらいは知っていようし、もしかすると働いていた女達の移籍先が分かるかも知れないというので、早速使いをやります。
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