搗米屋

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「これ清三よ。こう先生は仰るが、なんぞ胸につかえている物があるのか」 「……へえ。でも、あの、言えば叱られますから」 「叱ったりはしねえよ。いいから何でも話してみろい。それとも何か? この俺に隠し事をしようってぇのか」  励まされたり脅かされたりして清三が、ようよう口を開きますことには、 「実は……暮れに親方のお使いで、神田の御親類まで行って(めえ)りやした」 「おう、行かせた行かせた。須田町のな、本家の伯父貴の所へな」 「その道すがら、ふっと魔が差しまして――」 「……魔が差して……?」 「済みません済みません、ほんの出来心なんで――」  一体何をしでかしたのかと、さすがの親方も息を飲みます。
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