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関白の幸せお届け便
額と顎の位置に黒い模様がある白い猫。名前はその模様から『関白』と呼んでいる。
我が家で最近飼い始めた猫である。
いつも撫でようとしてもつっけんどんな態度であしらってくる関白だが、自分が鎌って欲しい時になると、
「なー」
パソコンで作業している私の膝の上に乗ってきて寝転がって、鳴きながらお腹を見せてくるのだ。
私の中では「余に存分に構え」のポーズと呼んでいる。
構ってあげないと、キーボードの上に飛び乗って邪魔をしてくるので、関白の気が済むまでお腹を撫でてあげるのである。
そんな関白が我が家に住み始めて不思議なことが起こっている。
母親が近所のスーパーの福引で国内旅行を当てたり、父親はずっと探していた探し物が見つかったりしている。
両親は関白が幸福を運んできている招き猫的存在だと喜んでいてが、果たして本当にそうなのだろうか?
「なー」
関白はそう鳴いてベッドへと登り、私の横へぴったりと座る。
私はそんな関白の頭を優しく撫でた。
「お前はこの家の招き猫らしいよ」
「なー」
「幸せを届けてくれるのは本当かい?」
「なー」
「私にも幸せを運んでくれると嬉しいなぁ……なんてね」
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