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雷の男
カタリス村、ブランケット王国の中で最も小さな村であるだけではなく、その存在すらも知る人間は少なかった。ブランケット王はカタリス村へ調査団を派遣して、実態の把握に努めたが、村長から「迷惑はかけない」とだけ言われ断られた。しかし、寛容なブランケット王は、それを受け入れてた。それ以来、カタリス村は謎のままであった。
イゾウがフライトマンを飛ばし続け、カタリス村に到着した。正確に位置を印したタワーのメモが役に立った。
小さな村だった。
入り口には誰も立っておらず、警戒心もなかった。
イゾウは村人らしき中年の男に話しかけた。
「村長に会いたい」
村人は、無言のまま、ある方向に指をさした。
どうやら、あれが村長が住む家のようだった。
イゾウは家の前まで来た。
扉は開けてあった。
「村長はいるか!少し話がある!」
イゾウは声を張り上げた。
すると、中から1人の老人が現れた。
「何者だ?」
警戒心があった。
「最強寺から来た。かなり昔の話だが、雷族のマティスさんのことについて知りたい。あなたは村長か?」
イゾウはストレートに話した。
「いかにも私が村長だが、なぜマティス様を知っている?」
村長がイゾウに質問した。
「時間がないから手短かに話をする。1500年前に最強寺のデマールという僧侶からマティスが4人の強き者に指名されたはずだ。そのマティスが次に誰を指名したのか知りたいんだ。用件はそれだけだ」
イゾウが村長に言った。
「知ってどうする?」
また村長が質問した。
「最後に指名された人間、つまり今の時代にいる4人の強き者に会いたい。マティスの後に指名された人間もまた、次に誰かを指名しているはずなんだ。それを最後まで追っていけば会えると思っている」
イゾウが説明する。
「会ってどうする?」
村長の質問は続いた。
「会って、仲間にする。そして、残り3人も見つけて仲間にする。その後は…今は、ここまでしか言えん」
イゾウもバカではない。仮にこの話が漏れたらエンドラル王やバシリスク兵団に邪魔されるからだ。
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