雷の男

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「そうか…お主が来ることは運命だったかもしれん。このカタリス村は雷族の隠れ家として、古来より雷族を守ってきた。マティス様が闘神に選ばれ、役目を果たす為に、この村を出た時も我々の先祖と残った雷族はマティス様の帰還を待っておった。しかし、マティス様は戻らなかった。役目を果たした時に戦死されたのだ。我々の先祖と雷族は深く悲しんだ。そんな中、マティス様と戦った3人の英雄がカタリス村を訪れたのだ。そして、彼らはマティス様を継ぐ強き者も雷族から出すことを決めた。しかし、マティス様に匹敵する者は雷族からは現れなかった。それ以後、どの時代にも必ず4人の強き者は雷族のもとへ訪れることになった。しかし、結果は同じだった。1500年近く、雷族は期待に応えることができなかった」 イゾウは黙って村長の話を聞いていた。 村長は、続けた。 「しかし、ついにマティス様に匹敵する雷族が今の時代に現れた。名をランスという。その男は10年前に4人の強き者を継承した。覚えておるか?10年前に起きたあの出来事を?」 村長はイゾウに質問した。 「クウゼ王の世界侵略計画か?」 村長がうなずいた。 クウゼ王とは、ロンパルナス王国を一代で世界屈指の軍事国家に成長させた史上最高の強運を持つ成り上がり王と呼ばれていたが、他国に対して侵略を繰り返すなど悪名高き王でもあった。クウゼ王は全世界に向けて世界征服宣言を発令、クウゼ王の世界侵略計画が始まった。しかし、そこから1年もしないうちにクウゼ王は何者かに暗殺され、ロンパルナス王国は急速に軍縮、今では中立国となってしまったのだ。真相は不明だった。 「内乱だと推測されたが違う。4人の強き者が真実だった。たった4人でロンパルナスの世界最強兵団55万と戦い全滅させたのだ。そして、クウゼ王を暗殺した」 村長の話を聞いてもイゾウは驚かなった。もはや感覚がマヒしていたのだ。 「そして、そのランスが今の4人の強き者の1人に選ばれた。今どこいる?ランスに会わせてくれ」 イゾウは村長にお願いした。 「ランスは狩りに行った。おそらく1ヶ月は戻らないであろう」 村長が答えた。
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