11人が本棚に入れています
本棚に追加
/161ページ
デルタの誓い
バシリスク兵団は一斉にディスタンスとイゾウを襲った。
イゾウはディスタンスよりも前に出て、日本刀を抜刀し、最大レベルの魔力を刀に集中させた。
第一陣である10人のバシリスク兵の剣撃をすべて受け流した。
その刹那、兜と鎧の隙間を狙って、一人一人の首にイゾウは刀を突き刺した。
一人に対して一太刀で決める。一刀一殺である。イゾウが30年暗殺を成功させてきた理由の一つは、無駄な攻撃を一切しないことであった。確実に一回で決める。
もちろん時間の短縮もあるが、相手を苦しませたくないというイゾウなりの配慮もあったのだ。
イゾウはバシリスク兵13人を2分間で倒した。
この間、武器を持たないディスタンスは詠唱を行っていた。
「我、無関心、我、無関心、目的は勝利と栄光にあらず、この力は天より授かり、大地に返上する。それ全て自然の理なり…」
そして、次の瞬間、ディスタンスの声が響き渡る!
「螺旋冥界!」
残り87人のバシリスク兵を包み込むドーム状の青い壁がそびえ立つ、さらにバシリスク兵の頭上には螺旋の渦が出現した。
そして、ディスタンスが冷たい目でこう言い放った。
「たかが100人で俺を倒せると思ったのか?」
その瞬間、ロキシー高原に大きな穴ができた。
残りのバシリスク兵は、一瞬で消滅してしまった。
その光景を見ていたイゾウは驚かなかった。
ディスタンスの力量を知っていたからだ。
「なあ、こんな大きな穴ぼこ作ったら王様に怒られねえのか?」
イゾウが労いを込めてディスタンスに言った。
「フフッ、その時はイゾウに穴を埋めてもらおうか」
「ガハハハ、依頼は暗殺だけにしてくれ」
イゾウは上機嫌だった。ディスタンスのような強い若者がイゾウは大好きだった。
最初のコメントを投稿しよう!