短文集

とある悪役

醜く歪んだ小さな体が、列をなすように並べられていた。
ひい、ふう、みい、と数えていけば、その多さを再確認できる。嬉しいことだ。

既に息もしなくなった冷たい体を見下ろし、手を伸ばす。己よりも小さな手をそっと握れば、心は幸福で満たされた。徐々に寂しさが消えていく。
長年感じていた孤独の埋め方。まさかそれが、こんなにも簡単なことだったとは……。

「よろしく、俺の新しい兄弟たち」

優しく微笑みうつ向く子供の頭を撫でる。歓喜するように流される赤き涙が、ひとつ床に落下した。