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一体の人形に手を差し伸べて、美しき彼女を立たせよう。赤きドレスにその身を包んだ彼女と舞えば、沸き上がる幸福により、君のココロは満たされるはずだ。
ただし、忘れるなかれ。彼女の顔を思い出してはいけない。記憶の底に押しやったものを、浮かび上がらせることをしてはならない。
躍り続けよ。
舞い続けよ。
そうして来るべき迎えの時を、涙を流して待ち続けよ。
彼女は笑わない。
怒らない。
赤き紅で塗りつぶされた唇も、もう開くことはないであろう。
後悔しても既に遅い。
君が彼女を殺したのだ。
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