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 使用人の1人はまだまだ電話向こうで何か言っているが、もう此れ以上聞くつもりはない。  厄介な2人組からの逃れられた以上、此の電話が1番現状で厄介な代物に成りあがっている。 「はいはい、じゃあ切るっすよー」  話を聞いているとは毛頭思えない、事実として微塵も聞いていない言い方に、ちょっと坊ちゃん!?なんて焦った声が聞こえたが、無視して通話終了ボタンをタップ。  此処で掛け直してこないあたり、御子息様のご機嫌伺いだとしても、オレにとってはまだ有り難いというか、まだマシと言える対応だ。 「……マジで下らねぇ」  今日一日の苛立ちを込めて、オレは吐き捨てる。  恋愛なんて馬鹿馬鹿しいし、運命の恋なんて下らない。赤い糸?最近は百円均一でも手に入るっすよね、といったところ。  恋だの愛だの鬱陶しい。  永遠の愛を誓う、なんて結婚の際語られるが、そんなものある筈が無いじゃないか。少なくともオレにとっての結婚は、跡継ぎだなんだと煩い連中を黙らせる為の手段でしかない。  そもそも偉そうに愛や恋を知る様説く連中が、永遠の愛とやらを語った相手を無視して、他の誰かと一夜を共にしている。説得力なんてあったもんじゃない。  本当、馬鹿馬鹿しくて、鬱陶しくて、不愉快極まりない。胸中の苛立ち及び疲労感を溜息に変えて吐き出そうとした。
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