第一章 ガルディア都市  第一話 夢

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第一章 ガルディア都市  第一話 夢

まるでそれは赤といったほうがいいだろう。 視界に映るのは真っ赤に燃える街並み、(とどろ)くのは助けを求める悲鳴の声、我先にと火の手から遠ざかるように人混(ひとご)みをかき分けて逃げる人達。  その表情を見ればわかるように、誰もが絶望した顔をして逃げている。  どうしてこんなことに……  この街はそんなに大きい街ではない、精々一つの集落程の大きさだ。 急いで逃げなければあっという間に背後から迫る炎に飲み込まれてしまうだろう。 「た…… 助けてくれ!」「嫌だ! こんな所で死にたくない」「まだ子供が中に…… お願い離して!!」  そんな阿鼻叫喚の声がいたるところで聞こえてくる。  そんな声に耳をふさぎたくなってしまう。 ここには絶望しか残されていない。  多くの人が火の手の廻っていない一つの出入り口を目指しているためか、混雑し、進行も滞ってしまっている。  その背後からは、剣を手にした騎士の恰好の男達が立ちふさがる人を切りながらこちらまで迫ってきている。  そう…… この街は戦争の渦中(かちゅう)に巻き込まれていたのである。     
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