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「俺を舐めてるの?そんな誤魔化し、通用しないよ」
「…っ、」
笑みを浮かべながら言葉を放つ律くんに、私は何も言い返すことができない。
彼の威圧的な感じとは対照的に、律くんは懐柔的だと思った。
いつものニコニコ笑顔で人を簡単に手懐け、上手に扱い、手のひらで転がしながら裏で嘲笑うような…きっとそんな人だと思う。
話し方も穏やかで愛嬌も満点。甘いマスクで女性が放っとかないようなタイプだけど、実はこういう人が一番怖い。
ほら、今だって黙り込む私をすごく嬉しそうに眺めてるんだから。
「ねぇ、」
「…なに」
「忙しい兄に代わって、お飾りで暇な俺が、おねーさんのボディーガードをしてあげるからね」
「やめてよ…意味わかんない」
だから…私は芸能人でも、どこかの令嬢でもないのに一体何から守るというのだろうか。
こんな庶民丸出しの私にボディーガードって。冗談にも程があるし笑い話にすらならないレベル。
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