第4話 婚姻届の重み

19/19
7716人が本棚に入れています
本棚に追加
/370ページ
「おまえは何もしなくていい」 「え…?」 「俺がおまえに尽くして、死ぬほど愛してやるんだから」 隣に座っている彼に一瞬で引き寄せられ、 彼の腕の中で聞こえてきたその言葉は 私にとって悪魔の囁きだった。 「ずっと欲しくて欲しくて仕方なかったもの、やっと手に入れた…」 私を抱きしめる彼の手にしっかりと握られた婚姻届が、もう後戻りはできないと証明しているようで… ついさっきまで感じなかった婚姻届の重みが ズシッとのし掛かったような気がしていた──
/370ページ

最初のコメントを投稿しよう!