第5話 戸惑い

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「どうぞ、奥様」 「奥様はやめてください…」 乗降時、わざわざ車のドアを開閉してくれる日下さんに戸惑うばかり。 それも奥様って…私はただの庶民なのに。 見覚えのある景色から思うに、ここは職場のビルから徒歩10分といったとこだろうか。 高立地な場所にあるこのタワーマンションは24時間365日警備員さんが常駐しており、セキュリティも万全らしい。 「凄い…」 彼に感謝なんて微塵もできないけど、現在の私が思いきり動揺して戸惑っているのは紛れもない事実。 一流ブランドの副社長なわけだし、凄い部屋に住んでるんだろうと予想はしていたけど… 連れてこられたのはそれをも上回る物凄い、とにかく凄すぎる空間だ。 最上階である42階に住んでいる彼は、生まれながらのセレブなのだと思い知らされた。
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