第5話 戸惑い

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第5話 戸惑い

スキンシップは嫌いだ。 ラブラブとか、ベタベタとか、イチャイチャとか。 そんなワード、聞いただけで寒気がするほど未知な存在。 今まで付き合ってきた人達とだって、ある程度の距離感を保ってきた。 ズカズカ心に入り込もうとしてくる人がいようものなら、その時点で関係は即終了。 そうやって面倒な恋愛は終わらせてきたのに… 何故だか彼を振り払うことができなかった。 微かに香るこの匂いの所為かもしれない。思考回路が停止するほど心地よく香るシトラスの匂い。 そんなことを考えてる間にも、腕の力はどんどん強くなっていく。 おまえを逃がしはしない、とまるで無言の圧力をかけるように。 これにはさすがに思考回路も再起動したらしい。 「…、っ、…離してっ…」 「ずっとおまえだけを想っててやっと手に入れたんだ。簡単には離さない」 彼の言葉の意味を理解しようと試みる。 彼は結婚なんてしたくないと言っていて、割り切った関係を望んでいたはず。 それなのに婚姻届を書いた途端、どうしてこんなに一変したのだろうか。 それにずっと想ってたって… 私達は少し前に知り合ったばかりのはずなのに。 一体どういうこと…?
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