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「待ちくたびれたよ。良かった来てくれて」
いきなり話しかけられた男は、体をビクリと震わせタカシの顔を見上げた。
「えっと・・あの…キミがメールをくれたの?」
タカシは華やかな微笑を浮かべながら頷いた。
「なんで・・ボクのメアド知ってたの?」
相変わらずおどおどしながら質問を続ける。
「オレはアンタの事なら何でも知ってる」
「…」
「とにかく再会を祝して乾杯しないか?」
テーブルの上に置かれていたグラスを2つ取り、ひとつを男の手に握らせる。
「再会って・・ボク・・キミの事知らないし…それにお酒は飲めないんだ」
「知ってるよ」
男は何か言いた気に口をぱくぱくさせた。
やがて意を決したように
「あの・・ボクを助けてくれるって本当?お金貸してくれるの?」
タカシは形の良い唇に人差し指を当てると「しっ」と囁いた。
「あんまり自慢出来るような話じゃないだろ?向こうでゆっくり話そうぜ」
先に立って歩き出すのに黙って従うしかなかった。
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